気と声

中国語では有気音と無気音を習う。呼び名こそ違え、朝鮮語の
激音と平音も全く同じものである。日本語では、この区別が
ないかわりに、有声音(濁音)と無声音(清音)の区別がある。
これを表にまとめると下のようになる。bp系の音を例にとる。

  A B
1 ba pa
2 bha pha

第1行が無気音、第2行が有気音を表している。また
A列が有声音、B列が無声音を表している。つまり1−Aは
有声無気音、1−Bは、無声無気音、という具合である。
「声」の方は、のどを振動させるかどうかの差、「気」の方は
子音とあとの母音の間に、息を漏らすかどうかの差である。

ここには4種類の音があるのに、現代日本語やヨーロッパの
言語では、AとBだけを識別する。中国や朝鮮半島では、
1と2だけを識別する。さらに言えば、タイ語では、1−Aと
2−Aは同じだが他は皆違うとし(3種類)、インドの
ヒンドゥー語では4種類全てを識別する。「4項対立」という
呼び方をする人もいる。
有気音(激音)の発音の仕方は、初級のときに習うが、名前から
類推して、発音するときに、体に勢いをつけたり、つばを
飛ばしたり、肩に力を入れたりする人が多い。また練習方法でも、
紙を前に垂らし、動けば有気音、静かなままなら無気音、という
ふうに練習している姿をよくみかけるが、それらの必要はない。
pやbの間に息をもらせばよいのである。p-h-aのように、
間にhの音、つまり、息が漏れればO.K.である。慣れれば
簡単な話だが、最初のうち練習の過程では、是非、経験者の
チェックを受けられたい。

ここで、注意したいのは、どの言語の中にも、この4種類の音は
登場することだ。ただ、それらを聞いて、その違いを弁別するか
どうかだけの話である。「かがみ」という言葉を中国人に聞かせると
「テンテンのついているのは、どちらの「か」ですか。」とか
質問を受けることがある。やはり、有声・無声の弁別にとても苦労
している様子がうかがえる。

★ 本日の一文
钱无耳,可使鬼

地獄の沙汰も金次第。

a href="http://foreign.blogmura.com/chinese/">にほんブログ村 外国語ブログ 中国語へ
にほんブログ村