語素と2文字の単語

漢字2文字の単語については、過去にも再三紹介して、その重要性を
強調している通りである。なぜ2文字が多いかは、中国語が音節単位で
意味を表すような構造になっていて、その音節数が少ない、という
ことに尽きると思う。よく参考書の巻末に「反切表」がついているが、
あのマトリックスで、せいぜい300余り、4種類の声調を掛け
合わせても、1300−1400種類にしかならない。これだけで
この世の中の森羅万象を表現することなどとてもできない。いきおい、
音節を組み合わせて単語を作る。日本語などでは、1音節がそのまま
意味を表すことが少なく、もともと多音節語が主流なので、こういう
こと自体、問題にならない。その昔、古典語では中国語も1文字の
単語が主流であった。漢文に出てくる単語を見ると、今に比べて
圧倒的に単音節語が多いのがわかる。さて、現代中国語では、常に
この2文字の単語を意識して学習を進めていくことになる。
「椅子」という言葉は中国語起源で、そのまま日本に伝わった。
発音も元の中国語音をそのまま取り入れている(昔の日本には
椅子がなかったのかしらん)。この単語の後ろの文字「子」は、
接尾辞(縮小辞)である。何の意味も表さず、単に語調を整える
ため(つまり無理矢理2文字にするため)に存在している。
こういうものをくっつける現象は、実は世界中広汎に見られる。
フランス語の-in (ine)やオランダ語の-je (tje)がおなじみで、
日本語でも東北方言など、「どじょっ子」だの「ふなっ子」だの、
接尾辞のオンパレードになることがある。現代中国語の場合、
語調だけでなく2文字で「意味も安定」するので、極力2文字に
もっていこうとして、この接尾辞を活用する(つまり、「椅」だけ
言っても、どの漢字かイメージしづらいからである)。
「椅子」も籐でできた椅子なら、「籐椅」で、もはや接尾辞は
無用となり脱落する。この手の例は枚挙に暇がない。
「饺子」→「水饺」「煎饺」
「裤子」→「短裤」「裤袜」
「桌子」→「饭桌」「桌面」
いずれも左側にあった「子」は右側で脱落している。新たな
意味が加わっても、加わらなくても、文字数は依然として2つの
ままである。動賓構造でも同じ現象が起こる。「浇水」は
「水をやる」だが、「花に水をやる」は「*给花浇水」ではなく、
「浇花」という。とにかく、できるだけ2文字に収斂しようと
する不思議なパワーが働いていることは間違いない。もうひとつ、
辞書の解説などで「2文字の単語が続く」と書いてあることが
よくある。「极为」と「极其」は共に「非常に」「とても」を
表すことばだが、後ろは2文字であることが要求される。
「とても速い」と言いたいとき、「非常快」や「很快」はO.K.でも、
「*极为快」は間違いで、「极为迅速」などに換えないといけない。
日本語のような多音節語では、2つの要素を合わせて使うとき、
コロケーションの要求はあっても、音節数の要求はない。
この点から見ても、中国語はリズムをとても大切にする言葉だと
思う。
意味を持っていても、1人前の単語としては扱われない文字を
語素と呼ぶ。接尾辞などが単独では使われないのは、簡単に
理解できるが、意外なものもある。例えば「男」。もちろん、
この単語が生まれた太古の昔は単語であったに違いないし、
古典語でも単語として使われている。しかし現代語では、
単独で登場することはなく、他の語素や単語によりかかって
使われる。「男老师」「男装(紳士服)」「男表
(紳士もの腕時計)」「长男」「男女」という調子である。
「*他是男」は間違いで、単に「おとこ」とだけ言いたいときは
「男的」とする。「女」も、全く同様の文法的振る舞いである。
ボーイフレンドは「男朋友」だが、最近は「男友」もよく
見かける。作文や会話でも、このあたりのリズム感を常に
意識していたいと思う。


「杜拉拉升职记」P165
比较搞笑的是,他对常住上海的经理的用人标准,居然和拉拉
用上海主管的标准一模一样。他要这个人性情随和,最好不想再升了,
能独立地把活干出来,又不要太强。
本来。Tony林的东区大区经理并不是这么个人,但他毕竟是个
老资格的大区经理,思想水平不错,Tony林一上台,他就猜透了
上司的心思。这东区大区经理就假装自我定位在守住目前职位的样子,
有时候还偷偷懒,把些说大不大说小不小的事儿推给下面的一线经理
去处理。难为他装得像,Tony林心里就将他归入平和派,年终绩效
考核面谈的时候,还要求他再多用点心。

けっこうおかしいのは、彼が上海常駐のマネージャーを選ぶときの
基準が、なんと拉拉が上海の主管を選ぶときと全く同じで、
おとなしく従順で、できれば上昇志向は持たず、任せられた仕事は
ひとりでこなすことはできるが、それでいて能力はあまり高くない、
そういう人を求めていた。
もともと、Tony林の部下である華東地区のエリア・マネージャーは、
決してそういう人物ではなかったのだが、そこはキャリアの豊かな
エリア・マネージャーだけにしっかりとしており、Tony林が、
上司として就任すると、たちどころにその考えを見透かしていた。
彼はあたかも自分が地位を守るのに汲々としているかのように
見せかけながら、実は適当に仕事をサボり、普通の仕事は部下である
現場責任者に処理を押しつけていた。彼があまりにも上手に
猫をかぶっているので、Tony林は彼を無気力な事なかれ主義者で
あると思い込み、年末の業績査定個人面談の際にも、もっと積極性を
持って貪欲に仕事に当たるように鼓舞したほどだった。

・「搞笑」は最近よく見かける言葉。「搞笑节目」はテレビのお笑い番組。
・「资格」は日本語の「資格」と同じ意味のほかに、「職務経験」
「職歴」という意味でもよく使われる。
・「说大不大说小不小」は、文字通り解釈すると、「大きいといっても
大きくはなく、小さいといっても小さくはない」だが、「ことさら
重要でもなく、また特につまらない、というわけでもない」という
ニュアンスで捕らえた。
・「难为」が意味が多すぎて解釈が難しく、よくわからなかったので、
インフォーマントに解説を仰いだ。多分に皮肉の意味をこめて
「すばらしいことに」、「なかなかできることではないが」という
ニュアンス。皮肉で使われなければ、辞書に載っているように、
通常、「这么大热的天,难为您还来看我(こんなに暑い中、わざわざ
見舞いに来てくださって、本当にありがとうございました)」という
感じで用いられる。相手の特段の好意に対して、礼を言うときに
使われる。
・「装」は「装蒜」などの慣用句でおなじみ。「ふりをする」
「見せかける」という動詞。


★本日の学習進捗状況
少しだけ前進。

1.単語帳(Campus Wide)
11冊目 45ページ目(全69ページ、1ページに30単語)

2.「杜拉拉升职记」(8〜261ページ)
170ページ目

3.日中・中日翻訳トレーニングブック(90~146ページ)
101ページ目

4.茉莉花 1回目音読完了。2回目。


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