精読と速読

原書会に参加させていただくようになってから、やはり読書そのものを、すごく意識するようになった。別に生まれて
初めて、原書を読み出したわけではなく、大学1年生の頃は、モーパッサンが面白くて、没頭していた。その頃は
やはり作品の魅力に惹かれていたと思う。その後もいろんなものを読みあさったが、内容はだんだんどうでもよく
なってきて、文章のうまさ、美しさや、内包するユーモアなどに興味が移って行ったような気がする。年と共に
感受性が退化していったのだろう。それで昨今の中国語の原書である。みひゃんさんが精読か速読、どちらを
とるべきかで、おもしろい記事を書かれていたので、啓発され、自分も自分なりに考えてみた。ところが、考えれば
考えるほど頭がこんがらがってきた。思うに、精読と速読、これは実は対立概念ではないと思うようになった。
そう考えれば、けっこうすっきりする。まず速読。この反対語は「遅読」だと思う(こんな単語があればの話だが)。
読む内容は同じで、ただ諸般の事情から、人によってそのスピードが異なってくる。で、どっちがいいかというと、
これはもう圧倒的に速く読める方がよい。私はめっぽう遅いので、速く読める人が羨ましい。1冊の本に半年も1年も
かかりきっていると、のびたうどんのように、味そのものにも影響するし、登場人物が多くて久しぶりに登場する場合、
あれっ、この人はどんな役柄だったかしら、などと後戻りしなければならなくなる。効率悪いことこの上ない。
それで輪をかけたように遅くなる。リズム感を持って、速く読み終わるに越したことはない。ならば、精読の
反対語はなんだろうか、「粗雑読」という単語もないだろうから、単純に「飛ばし読み」。意味の分からない
ところを、ドンドンスキップして進んでいくのである。結果的に速度は速くなるだろう。しかし、この行為を
「速読」と呼ぶのはペテンだと思う(余談だが、ペテンの語源は中国語、”骗天”で「天をもだます、とんでもない
詐欺師」という説があるそうだが、本当かしらん)。もし、日本人が日本語の小説を読んで、そのようにしたらどうか。
2時間ドラマ(映画でもよいが)で、最初の3分間で、貧乏で不幸だった主人公が、最後の3分間で金持ちで幸せに
なるというストーリーの両端6分間だけを見て、「素早く見終わった」と言われてもピンと来ないと思う。途中の
波乱万丈と紆余曲折は、容易に想像がつくので、省略したり、早送りしました、と報告されても、この人は本当に
鑑賞したのだろうかと疑ってしまう。もちろん、「飛ばし読み」がいつも悪いわけではなく、駅前で配られたビラを
ちらっと見て、「ああ、不動産の広告か」とか、「結婚相談所か」、とわかった時点で、内容を深く理解せずに
ゴミ箱行き、というのはよくあることである。それでも、「私はビラを速読した結果、興味がなかったので捨て
ました」とは、言わないだろう。「飛ばし読み」をしたときは、「飛ばし読み」をした、と言うべきで、
「速読した」などとごまかさない方がよいと思う。どうも日本人は「ネイティブ」とか「原書」とかの言葉の響きに
弱くて、目的地に達する前に、空高く舞い上がってしまう例が見られる。「原書」が「飛ばし読み」の免罪符に
ならないように、自分への戒めとして、外国語の作品は、しっかりと勉強して精一杯理解する、または、定評の
ある翻訳家の日本語訳を読む、もしくは何らかの必要があって、飛ばし読みをするときは、はっきりそのように
表現する、この3つのうちのどれかで行きたい。

★本日の学習進捗状況
音読だけ。
1.単語帳(Campus Wide)
12冊目 4ページ目(全39ページ、1ページに30単語)

2.「蜗居」(1〜303ページ)
129ページ目
図書館で集中的に頑張った

3.中国語作文−その基本と上達法(1~253ページ)
27ページ目
これも上記と同じ。

4.音読「三国志演義」(10−67ページ)
19ページ目

5.音だけを聞いて長文を暗記する
耳が喜ぶ中国語 12課

•蜗居 p111
海萍今天晚上有课。下班正收拾包、经理来通知:“晚上要加班、大家把这个计划给弄出来。海萍、你别急着走。”
海萍脑子里算盘立刻打上了、这边是无偿劳动、那边是一个半小时150块、我大脑搭住了才会在这里加班。
“不行啊、王经理、你要加班得早说、我晚上要去医院、老公病、我得送饭。”“哦、那这事情很紧急、你先走吧!”
海萍迅速逃跑。
海萍はその晩、家庭教師があった。カバンを整理して退社しようとすると、「今晩は残業してくれ、みんなこの
プロジェクトをやり遂げてほしい。海萍、急いで帰らなくていいぞ。」と社長が言いに来た。海萍は頭の中で
そろばんを弾いた。ここはただ働き、向こうは1時間半で150元、頭がおかしくならない限り、こんなところで
残業なんかするもんか。「今日はダメなんですよ、王社長。残業があるなら早く言ってくださいね。主人が病気に
なったので、私が晩御飯を届けなくてはいけないんです。」「おおっ。それは大変だ、先に帰っていいよ。」
海萍はそそくさと立ち去った。

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