本2冊

今年は本はなるべく買わないキャンペーン展開中で、
かなり抑制が効いているほうだが、このたびは2冊
いっぺんに購入した。1冊目は、有一天さんのブログで
ご紹介のあった「台所から北京が見える」(講談社 
長澤信子)。なんとも強烈な本である。初版が1985年、
これが絶版になり、のちに講談社+α文庫から
復刻本が出る。これに期待して、本屋を漁ったが、
どこにも在庫なし、出版元にも在庫なし、再版予定なし。
やむをえず、ネットの古本屋さんで探すと、長崎県
島原市の古本屋さんで発見。お取り寄せとなったが、
原価1000円(当時は本が安かった)なのに、希少な
本であるからか、古本代は1500円(原版より高い!)
輸送費が1200円、その他代引き手数料など、なんやん
かんやんわんやんで、しめて3100円、お高い買い物に
なった。背表紙は日焼けしている。しかし、一読すれば、
金額以上の値打ちは直ちに見つけることができる。
著者の半世紀にわたる回顧録でもあり、中国語学習
指南書でもあり、戦後の中国語教学史でもあり、
中国旅行記でもある。ケチをつければ、焦点が
定まらないともいえるが、要するに内容が恐ろしい
ほど豊富なのである。オールドファンには懐かしい、
斯界の先生方の名前が次々に登場するかと思えば、
学費稼ぎのために看護師になる努力をされ、家族の
絶大な支援を得ながら、日本や中国で看護士として
働かれ、猛勉強の末、ついには国家資格であるガイド
試験に合格される立志伝としても面白い。でも一番の
注目は、やはり学習法。「私なりの中国語学習法」と
記された章には、学習のエッセンスが詰め込まれて
いる。1万枚の京大カードを一括購入、暗記したい
文章を書き込んで全文暗記、という下りには、
さすがに大きな衝撃を覚えた。

1.語学は若いうちに始めなければならない。
2.その国に行って勉強しなくては身につかない。
3.外国人に習わないといけない。

これらは全てウソである、と喝破されている。私も
全く同じことを今までこのブログでさんざん書き
続けてきたが、このたび人生と中国語学習の大先輩に
追認していただいた形となり、恐悦至極である。
この部分だけでも3100円以上の値打ちがあると思う。
著者がすでに他界されているのが惜しまれる。
読みながら、そういえばこの著者の名前は以前にも
何回か聞いたことがある、ような気がしてきた。
ただ時と共に忘れていただけかもしれない。
久方ぶりに重量級(本自体、けっこう重厚)の名著に
出会った。ご紹介いただいた有一天さんには、
ひたすら感謝したい。
2冊目は、「30語で中国語の語感を身につける」
(白水社 永倉百合子)。強いて分類するなら、
文法書ということになろうかと思う。要するに
頻出する虚詞(形容詞も少し混ざっているが)に
ついて、例文を挙げながら、丁寧に説明している。
30語とは、是,有,在,不,好,多,少,给,到,
对,和,都,也,再,又,还,就,才,能,会,可以,
要,把,过,着,了,得,的,吧,呢である。
たとえば、「要」の項を見ると、「きっぱりとした
意志を表す」という副題がついていて、解説がある。
いくつかの項目に別れていて、そのうちのひとつの
例文は「这本词典比那本要贵得多。」,「我觉得东京
比我老家要方便得多。」。以前私はこの比較文に
出てくる「要」がよくわからなかった。役割・意味は
どうなっているか、取ってしまうと、どのように
ニュアンスが、変わるのか。この説明は専門の
虚詞辞典には出ているし、普通の中日辞典でも親字の
下の意味のところを読んでいけば、探し出せる。
しかし、解説は紙幅の関係か、乏しいし、この本ほど
明確ではない。虚詞なので、文の骨子ではないが、
語気・語感には大きく影響する。なんとか通じれば
いい、だけでなく、会話のときの感触にまで踏み込んで、
身に着けたいという、欲張りな人に強くお勧めしたい
本である。

★本日の学習進捗状況
進展なし。
1.単語帳(Campus Wide)
12冊目 8ページ目(全39ページ、1ページに30単語)

2.「蜗居」(1〜303ページ)
163ページ目

3.中国語作文−その基本と上達法(1~253ページ)
41ページ目

4.音読「三国志演義」(10−67ページ)
27ページ目

5.音だけを聞いて長文を暗記する
耳が喜ぶ中国語 13課

•蜗居 p136
海萍哭着回家给苏淳打电话,电话里还口齿不清:“凭什么扣我的钱?想叫我主动走人,门都没有!他不给我钱,我明天起就坐在厕所门口。我把着门不让他上厕所!看谁狠!”苏淳皱着眉头小声说:“海萍!你想开点,不就为了那么点钱呀?你何必跟自己过不去,搞得心情那么糟糕?给就给,不给就算了。人不能为了那么点钱,自尊都不要了。”
海萍は、泣いて家に帰り苏淳に電話した。電話口ではしどろもどろだった。「あいつは何の権利があって、私の給料を減らしたりするの。自分から辞めるように仕向けてくるのよ。部署もないし、給料もくれないのよ。明日から私はトイレの入り口に座らされるの。ドアを押さえて、あいつがトイレに行けないようにしてやるわ。面白いわ。」苏淳は眉にしわを寄せ、小声で言った。“海萍、あの程度の金にこだわるなよ。どうしてつまらないことで、自分から苦しむんだ。そんな金、くれてもくれなくても、どっちでもいいじゃないか。はした金で、自分の自尊心まで捨てることはないよ。”

高美さんより、誤訳の指摘をいただいたので、お詫びして訂正します。
「部署もないし・・・・座らされるの」→「そうはいかないわ。給料をくれなければ、私は明日からトイレの前に座って・・・」にほんブログ村 外国語ブログ 中国語へ
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