否定の虚辞 その3
長いマクラで2日分のダイアリーをかせいでしまったが、
ここからが本論である。中国語の例を見てみたい。まず
とっさに思いつくのが、
A 小心感冒。
B 小心不感冒
A,Bともに同じ意味である。ならば、「不」は虚辞か?
しかし、これはAの方が「風邪」と言う名詞で、
「風邪に気をつけてください」、Bは「風邪を引く」
という動詞で、「風邪を引かないように気をつけて
ください」と訳せば、事なきを得る。いささか
こじつけくさくてグレーゾーンだと思うが、一応
セーフとする。
2例目。
C 好容易才买到了车票
D 好不容易才买到了车票
これまたC,Dともに同じ意味である。これは全く
言い逃れの余地なく、確信犯的クロである。
ただこれまでの外国語の例も含めて、本例が
根本的に異なるのは、「不」のあるD の方が
ロジカルな文になっている点である。
好(かなり)+不容易(容易でなく)で、
「やっとのことで」とか「ようやく」の意味を
紡ぎだしている。好(かなり)+容易(容易に)
では、「いともたやすく」という感じになり、
コンテクストに支障をきたす。
3例目。
最後は非常に厄介な例である。自分で書いていても
頭がどうにかなりそうなので、相原 茂先生の
汉语学习词典(朝日出版社)から引用させて
いただく。また夜も更けてきたので、内容は次回に
譲りたい。 (つづく)
本日の一文:
我们能原谅我们讨厌的人,但却不能原谅讨厌我们的人。
嫌いな人を許すことはできる。でも自分を嫌う人を
許すことは絶対にできない。