漢文

孔子の論語とかの引用文で、おなじみの漢文、本を読んでいると、
今でもときどき目にすることがある。しかし、現代生活の中では
だんだんと疎遠になっていっていると思う。今回の記事の題も
「漢文のすすめ」にしようかと思ったが、あまりオススメは
できないかな、と思い直して単なる紹介だけにすることにした。
漢文は古代中国の文化をなんとか吸収しようと、日本の、これまた
古代の人が必死に開発した一種の暗号解読技術である。ベトナムや
朝鮮にも、同じようなのがある。書いてある意味が取れれば
それでO.K.なので、語学の勉強でありながら、四声がどうの、
有気音がどうの、という発音関係の煩わしさはない。ただし、
あくまでも、日本語の文法範囲に引きずり込もうという狙いのため、
読む順番を表すいろいろな符号をつけて、日本語の語順になるように
変えて読む。読み方も「音読み」と「訓読み」を駆使し、かつ、
送りがなをカタカナで付け足して、全て日本語読みの範囲内で読む。
涙ぐましい努力である。漢文学習は上記のような技術、というか
基本ルールを習得しなければならないので、その部分が勉強の
対象となる。これさえ習得してしまえば、古い時代の中国語を
日本語に置き換えることができる、という筋書きである。
ではなぜまた古い時代の中国語が今の人に必要か、ということで
あるが、中国語の文章を読んでいると、古代中国語によく出くわす。
これは現代中国語の知識では対応できない。うちの会社は、全く
アカデミックな雰囲気などない、がさつな職場であるが、
それでも文言文と呼ばれる古めかしい言葉で書かれた社内文書が
流れてくる。いちいち現地スタッフに聞くのは、非常に煩わしい。
スタッフは誰も文句を言わないところを見ると、皆それなりに
理解しているのであろう。中国では中学1年生から古文を習うので、
基本的なことは理解できていると思われる。というわけで、漢文は、
中国で中国語を使って仕事をするだとか、中国人と少しだけでも
教養ある会話を楽しむとか、古い文献に当たらなければならない
ような調べ物があるとかいう人にとっては有益だと思う。中検で
いえば、準1級以上、の感じだろうか。
漢文は高校3年のときに習った記憶があるが、今でもカリキュラムに
あるかしらない。漢文についてすでにご存知の方もいらっしゃる
だろうし、全てをここで説明できないので、サワリだけ簡単に
述べたい。
例えば、「不足为奇」という成語がある。「不思議がるには
当たらない」ぐらいの意味である。これを日本文に置き換えようと
すると、「不」「足」「为」の左下に「返り点」という符号を
つける。この符号は「レ」の形をしているので、「れ点」とも呼ぶ。
この符合の付いている字にぶつかったら、その下にある字を先に
読んでから戻ってきて読みなさい、ということになる。この
成語の場合、上の3つにつけるので、結局「奇」を一番先に
読むことになる。その次が「为」、それから「足」、最後に
「不」の順番で読むことに結果的になる。で日本語に直すと
(これを「読み下す」という)、「奇と為(な)すに足らず」
である。「不思議なものであるとするには、不十分である」と
いうことになり、意味がわかる。もうひとつ、うちの会社で
あった実例。「勿谓言之不预」。こんなものを社内書類に書いて
回してくる人の神経を疑うが、現代中国語の知識では全く
歯が立たない。これは「勿」と「言」と「不」に「れ点」がつく。
なので読む順番は「谓」「勿」「之」「言」「预」「不」となる。
「イフ ナカレ コレヲ ゲンスルニ アラカジメナラ ザルト 」と
読み下す。意味は直訳すると、「言わないで下さい。そのことを
言明するのが、あらかじめではなかったと」。現代風に訳すと、
「そんな話聞いてないわ、なあんて、あとになって言わないでね
(最初にはっきり、おことわりしておきますからね)。」
手持ちの辞書ではなんと、講談社の辞書が「勿」のところに、
項目をたてて挙げていた。講談社、おそるべし。まあでも普通は、
現代中国語の辞書を引いても、解決することはない。もちろん
中国の中学生のように、現代中国語から入って古文を勉強していく
方法もあるわけだが、それはそれでまた大変な作業である。
漢文は一般には不要だが、特定の需要のある人には、とても便利な
道具になりうると思う。


「杜拉拉升职记」P49
李斯特也笑,心说:这拉拉IQ和EQ都还行嘛,原来还以为她就知道干活。
他慢慢踱到王伟的办公室,招呼说:”王伟、听拉拉说今天你们很合作,
打包很顺利。”王伟自知理亏,解嘲说:”瞧你们拉拉把我的办公室
安排在正对着大门口,谁一进来,都先看到我,这是让我
当男reception(前台接待员)了。”
李斯特打趣道:”拉拉是看你相貌英俊,才够格当此殊荣。
我们招reception,对相貌是有要求的。我想占这个位置,
拉拉还不答应呢。”

リストも笑った。心の中で、この拉拉という子は、当初、
実務一点張りだと思っていたけれど。IQもEQもけっこう
高いじゃないか、と思うようになった。ゆっくりと王伟のいる
事務室までブラブラと歩いていき、彼に声をかけた。
「拉拉に聞いたんだけど、今日は頑張ってくれたそうじゃないか。
梱包がうまくいってよかったよ。」
王伟は自分が無茶を言っていたのをわかっていて、
照れくさそうに言った。
「君んとこの拉拉ときたら、俺の事務所を会社の入り口の
まん前に配置したんだぜ。外から人が入ってきたら真っ先に
俺と目が会う、俺を男の受付嬢にしやがった。」
リストはからかうように言った。
「拉拉は君がハンサムなのを見込んでそうしたのさ。
名誉なことだよ。うちの会社は、受付の容姿については要求が
高いからな。俺がそこに座りたい、といっても拉拉は
承知しなかったと思うよ。」

・干活がよく出てくる。本来は仕事をする、という意味だが、
ここでは実務・雑務をこなす、というニュアンスで、
頭脳労働ではない、という意味合いが強いと思う。
・自知理亏は成語。読み下すと「ミズカラ リノ カクルヲ
 シル」で、自分でも筋が通らない(道理が欠如している)
ことを知っている、という意味。
・谁一进来、都先看到・・・のところは「一」と「都」が
呼応表現になっていて、「誰でも〜すると、皆〜する」
というニュアンス。
・打趣道の道は、「说」と同じ意味。

★本日の学習進捗状況

1.単語帳(Campus Wide)
11冊目 43ページ目(全69ページ、1ページに30単語)

2.「杜拉拉升职记」(8〜261ページ)
49ページ目

3.中国語表現300例
147ページ目/156ページ

4.茉莉花 1回目音読完了。2回目。

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