人山人海

連休3日目に突入。今日は散歩も兼ねて、いつもは行かない繁華街に
ある書店へ出かけた。しかしまあ、どこをどうつついたら、
これだけの人が湧いて出てくるのかと思うほど、とんでもない
人出である。地下鉄駅構内なんか、100m進むのに5分ぐらい
かかってしまう。これではカロリーを消費する前に疲れきって
しまい、かえって運動にならない。書店の名前は、「大衆書局」と
いい、シンガポール系である。この3月から、何と24時間営業を
開始した話題の本屋さんで、本の陳列といい、淡い照明といい、
随所に設けられたベンチといい、中にあるこざっぱりしたカフェといい、
全体のレイアウトがとってもオサレな感じで、人さえいなければ、
1日中ここで過ごしたくなるような大型書店である。全体の内容
把握のため、店内をぐるぐると2周ぐらい回ってみた。外よりは
少しマシだが、やはりたくさんの来客で、息切れしそうである。
平積みの中に「日本コーナー」があり、大半は憎しみの限りを
ぶつける反日・愛国の書や、徳川家康や豊臣秀吉から現代日本を
読み解くという、ステレオ・パターンのものだったが、中には
毛丹青や今をときめく加藤嘉一さんの中国語の著書もあり、
けっこう内容豊富だった。大半の人にとって、日本はまだまだ
遠い遠い国なのであり、一生縁のない国なんだなあ、と思わせられた。
アニメ愛好家が、最も今の日本人の感覚に近い人なのかもしれない。
何冊か手にとってはみたが、心ときめかず、購入しなかった。実は
中国語学習のブロガーの皆さんに啓発されて、李可さんの
「杜拉拉」を買いに来たのである。さすがに発売後時間がたって
いるので、平積みにはなっていなかったが、現代文学のコーナーで
あっさりと見つかった。ベストセラーのご多聞にもれず、第2集と
第3集も出ており、同時に購入した。こういうのは、完全に
飽きられて、人に見向きもされなくなるまでテッテーテキに
続編を出して金儲けをしようとする。まあ、日本の出版界でも
「〜の品格」が売れれば、「品格」シリーズがウジャウジャと
出てくるし、「〜力」が売れれば、「力」シリーズが後を絶たない、
同一著者の写真入の著書がうずたかく積まれたりしているのだから、
あまり人のことを言えた義理ではないと思うが。

驚いたのはこの本の位置づけである。私は当初、ドタバタ喜劇か、
ほんわかほんのり心暖まるホーム・コメディだと思っていた。
ところがこの本のオビを見ると、

・联想集团董事局主席柳传志推荐给家人及属下看的书
・世界500强资深经理「揭示外企生存智慧」
・她的故事比「比尔•盖茨」的更值得参考
・当当网持续88周雄踞小说类排行榜第1名

なんだそうで、大いにおそれいってしまった。ここまで言われれば、
さしものビル・ゲイツでさえ納得せざるを得ないだろうと思う。
要するに読者に対し、この本を読んで、外資企業に入社し、出世の
コツを体得し、一発当てて、お金持ちになりなさい、とそそのかし、
いえ、あの、励ましているのである。読者もそれを期待して
購入しているのであろうか。私なら、年末ジャンボを30枚ほど買い、
握り締めたまま眠りにつき、当選した夢を見ているほうがよっぽど
幸せだと思う。六六さんの「蝸居」もそうだが、それを見る人々の
一攫千金と優雅な生活に対する憧れは、日本人の想像を遥かに
超越している。この「蝸居」のテレビドラマが、突然、当局によって
放映禁止にされたぐらいの過熱ぶりだったである。それだけ貧富の
差が日増しにひどくなっているわけで、反日デモもその枠組みの
中で見つめるべきなんだろうと思う。自嘲気味に「笑贫不笑娼」と
言っていた友人のことを思い出す。
さらに3冊購入。

•最不能错过的上海小店2012 俞菱•李牧婷
•不能说谎的职业 邵洵美
•星光下的灵魂 毕淑敏

一番上のは実用書、100店をマップつきで紹介している。少女趣味
バリバリの本である。靴とかバッグとか、ワンピとか商品の写真が
ワンサカ載っていて、中文さえなければ「anan」か「素敵な奥さん」か
と思ってしまう。真ん中のは少し古い時代の本、随筆集である。作者は
60年代(私はなんとなくこの時代に惹かれる)に亡くなっている。
ケンブリッジ大学に留学経験のある浙江省出身の詩人。内容を
ひとつふたつ、立ち読みしたが、時代に似合わず、すこぶる平易な
文体で、少し驚いた。シリーズになっているので、気に入ったら
他のも買ってみよう。最後のは平積みされていた売出し中の本で、
これまた随筆っぽい。なぜかCDまでついていて、著者の肉声が
聞けるらしい。内容は、愛だの、心の問題だの、男性がどうの、
女性がどうの、とか、そういう系統。「新宿の母」みたいな顔を
した著者の写真が載っている。語学書や歌の本以外で本にCDが
ついていれば、だいたい宗教関係かと疑うが、この本はどうだろうか。
5年の沈黙を破り、新作を引っさげて再登場・・とオビには書いてある。
本を選ぶ基準は特に決めていない。そもそも本の内容には、
最初からあまり期待していない。もちろん、あまりにも退屈なのは、
途中で寝てしまうので困るが、自分の究極の目的が「より豊かな
言語活動をする」ことなので、本は語学上達のための単なるツールと
割り切っている。教材である。引き締まった文体、美しい描写、
ユーモアのある表現、そういったものを求め、憧れている。あとは
ただひたすら、楽しければいい。しかしまあ、こんなにたくさんの
本が、目の前でツンドク状態になっている。死ぬまでにこのうち
何冊ぐらい読めるのだろうか。ためいきが出てくる。やはり本は
読むよりも、買うほうが楽しいのだと思う。

★本日の学習進捗状況
疲労困憊して、帰宅と同時に爆睡、お夕寝してしまった。
お勉強進まず。祝日は遠出せず、家の周りだけをウロウロ
しているのが吉のようである。

1.単語帳(Campus Wide)
11冊目 37ページ目(全69ページ、1ページに30単語)

2.論説体中国語読解力養成講座
122ページ目/132ページ

3.中国語表現300例
120ページ目/156ページ

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