SVOとSOV

以前、日本語の上手なフランス人の友達と、暇つぶしにゲームを
したことがある。彼は当時、中国語も勉強し始めていたので、
中国語を中心に据えて、中国語は日本語に似ているか、それとも
ヨーロッパの言語に似ているか、ひとつずつ、特徴を挙げてみよう、
というお遊びである。ルールは簡単で、借用による類似を除いて、
なんでもいいからこれと思うものを、ブレーンストーミング風に
出していく。「借用」による類似を除くというのは、例えば日本の
「いけばな」は英語で「ikebana」と呼ばれ、双方の発音が酷似して
いるから、日本語と英語はそっくりだ、などというのはダメよ、
という約束である。私がまず1回表、先制攻撃で「ヨーロッパの
言語に普遍的に見られる関係代名詞が日中にはない、だから日本語と
中国語は似ている」と切り出した。日本語はほぼ完全な前置修飾、
中国語も少し違うがやはり前置が主流で、関係代名詞はない。

L’homme que j’ai rencontre’ hier au parc
我昨天在公园碰到的男人
私が昨日公園で出会った男性

まず私が1ポイントを挙げた。1回裏の彼の反撃は「日本語だけが
SOVで、ヨーロッパと中国語はSVOである」・・・ふむふむ、
言われてみれば確かにその通りだけれど、しかしアナタ、世の中、
SVOとSOVの2種類しかないんだからね。「あなたと私はそっくりです。
なぜなら、あなたも私も男だからです。」と言っているようなもので、
迫力に欠けること甚だしい。ここのSはサドではなく、「主語」を表し、
Vは勝利ではなく、「他動詞」、Oというのは目的語のことである。

Io gioco il calcio
我踢足球
私はサッカーをする

たしかに日本語だけが仲間はずれではある。世に中国語を勉強し
始めて、「おおっ、英語に似ている」とのたまう人は大体、
この点を捕らえて言っているのだと思う。さて、われらが
試合はこのあとも延々と続いたが、とりあえず割愛して、
SVO型とSOV型について、自分なりに調べてみた結果を報告する。
実は、なんと上記の2種類だけではなかった。世界中の
約5000種類の言語のうち、日本語や朝鮮語のようなSOV型の
言語は40%で、最も主流である。SVO型は20%程度、
残りは「その他」であった。「その他」って何?
例えば「能格言語」と呼ばれる、Vの種類によって、SVOとSOVの
両方が存在するもの、、格を表す語尾が発達していて、完全に
語順フリーなもの、などがあるそうである。例えばラテン語だと、
「ジェーンさんは、メアリーさんを愛している」を6通りの
語順で表せる。どれも正解である。

Ionia Mariam amat
Ionia amat Mariam
Mariam amat Ionia
Mariam Ionia amat
Amat Ionia Mariam
Amat Mariam Ionia

  • amが女性名詞の目的格を表し、-aが主格を表している。

現代語だと、Jeanne aime Marieとか、Juana quiere Maria と、
語尾が歴史の波に洗われて磨り減ってしまい、その結果、
語順が完全に固定されてしまうことになる。というわけで、
最初から語尾変化なんぞ全くない中国語と,最終的には同じ
展開になるのである。

★ 本日の学習進捗状況
せっかく出張がなくなったのに、他の雑務で、なかなか進まない。

1.単語帳(Campus Wide)
11冊目 35ページ目(全69ページ、1ページに30単語)

2.論説体中国語読解力養成講座
111ページ目/132ページ

3.中国語表現300例
120ページ目/156ページ

にほんブログ村 外国語ブログ 中国語へ
にほんブログ村