彼女の先生

ずっと昔に、日本の連続テレビドラマが好きな中国人がいて、
ビデオを貸して欲しいと頼まれたことがある。DVDではなく、
なんとビデオカセット・テープである。今でもあるのかしらん。
げっくだか、どくだったか、松島菜々子が、ある高校に数学の
先生として赴任するドラマがあって、それを持っていって
貸してあげた。あとで感想を求めると「她的老师当得好」と
言われた。このとき、私の脳に衝撃が走った。この感覚は、
日本語と朝鮮語と中国語に共通、というか、ヨーロッパの
言語には見られない特徴ではないかと思った。正しいかどうか
わからないが、日本語には確実に存在し、そのとき中国語にも
あることがわかって、感動したのである。普通、「彼女の先生」と
いえば、「彼女」と「先生」は別人である。中国語でも当然、
「她的老师」の「她」と「老师」は、別人である。ところが、
友人の発した上記のセリフでは、明らかに同一人物である。
日本語に訳すと「彼女の先生、ハマリ役よ」となり、日本語でも
やはり同一人物である。ヨーロッパの言語では、seine Lehrerinとか、
son instructriceとした瞬間に、前半の代名詞で表される人と、
後半の人物は別人になってしまう、と思う。中国語でも
「她当老师当得好」ぐらいにしてもらえると、スンナリと
理解ができるのだが。「她的老师」には、本当に驚いた。
言い方を換えると、同格の「の」が存在するかどうか、という
テーマになっていくと思う。「犬のおまわりさん」は、犬を
取り締まる警官ではなく、警官自身が犬なのである。
「やぎのおじいさん」だって、2世代前のやぎを指す場合と、
そのやぎ自身が老齢化している場合と、文脈によって2つとも
ありうる、ということになる。とか、いろいろ考えていると、
中国語の初級作文で「中国人の友人が、私の家へ遊びに来る」を
中訳するとき、「有一个中国朋友来我家作客」とすべきところを
つい、「中国人的朋友」とかやってしまうことがある。これだと、
それは、日本人か、アメリカ人か、はたまたロシア人か、という
質問を受けることになる。これは日本語と中国語で、所有を表す
助詞の用法が異なる例。「的」の扱いは本当に厄介である。
日本語を勉強している中国人も「の」は厄介なシロモノだと
思っているに違いない。


★本日の学習進捗状況
少し進展するも、牛歩のスピード。

1.単語帳(Campus Wide)
11冊目 22ページ目(全69ページ)
2.論説体中国語読解力養成講座
61ページ目/132ページ
3.中国語表現300例
31ページ目/156ページ

★もうすぐ、出張に出るので、7月
いっぱいは、更新ストップ。また
8月頭より、再開予定。

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