中国語の辞書 その9 その他 その2

ここからは語学関連のものを書いていく。さまざまな視点から
辞書が編まれており、その視点自体を再認識することも
けっこう勉強になる。次の2冊はコロケーション(搭配)を
扱ったもの。コロケーションは、外国語を勉強するときに常に
注意していなくてはいけない大事なポイントである。私も以前
このブログで、英語の間違った表現を記事に書いてしまい、
同学のご叱正を受けた。例えば「メガネ」という単語を中国語で
覚えても、「メガネをかける」、「(メガネ屋で)メガネを
つくる」をどのように言うか、知らなければ実用性に乏しい。
「する」という動詞は、日本語で頻出する、使用範囲の広い
動詞だが、「宿題をする」、「テニスをする」、「サッカーを
する」、「思い違いをする」の「する」は中国語では全て別の
動詞を使う。こういう組み合わせのことを搭配という。
39.中国語常用フレーズ辞典 光生館 王占華 他著
4500円 2006年
搭配のほかにも慣用的な表現も多く収めており、見出し語は
約3000ある。常用の名に恥じない重要な語句が多い。日本人
学習者の立場に立って編集されているので、中国で出版された
ものより親切な記述になっている。著者は全員、北九州大学の
先生である。
40.常用词语搭配辞典 首都师范大学出版社
15元5角(200円) 1999年
これは中国で出たもので、小本ながら豊富な例文と解説が
頼もしい。特に2文字の単語に関する例句が充実している。

2文字の単語の後ろの文字で、引けるようにしたものを
「逆引き」辞典と呼んでいる。1.で紹介した講談社の辞書では、
ところどころコラムとして登場しているが、本格的なものも
出ている。日本でも以前、日外アソシエーツ社から出版された
ものがあったが、現在私は中国で出たものを使っている。
41.动词逆序辞典 福建人民出版社 6元8角(90円)1985年
動詞ばかりを専門に集めたもので、例えば「解」を引くと、
辩解,冰解,费解,分解,和解,化解,缓解,讲解,宽解,理解,
谅解,了解,排解,破解,曲解,劝解,禳解,融解,溶解,疏解,
索解,调节,瓦解,图解,慰解,误解,消解,小解,肢解の単語と
解説及び例文が載っている。各単語の意味のみならず、「解」の
意味範囲を知り、類語を弁別するのに役立つ。分厚い1冊である。
42.倒序现代汉语辞典 商务印书馆 50元8角(660円) 1986年
上記と同じ発想だが、動詞に限らず、広く2文字以上の単語を
集めており、見出しは5万6千に及ぶ大型辞書である。難点は
印刷状態がかなり悪く読みにくい点。

43.现代汉语同音词词典 商务印书馆 36元(470円)  2009年
これは私が長らく待ち望んでいたタイプの辞書で、ありそうなのに
今までなかったものである。四声も含めて、発音の全く同じである
単語を集めて解説する形式になっている。全く同じでも。文章中に
出てくる環境が異なるような場合はあまり苦にならない。例えば、
「目的」と「墓地」は共に「mùdì」で全く同じながら、使う場所が
異なるので、混同する可能性が低い。ところが、会計関係の報告を
聞いているときの「hésuàn」は「核算」なのか「合算」なのか、
学生の弁論大会で聞く「xiūyè」も「修业」か「休业」か、一瞬
戸惑ってしまう。よく話題になる「bìxū」は「必须」と「必需」の
2種類があり、「qīngqīng」に至っては、「轻轻」か「青青」か
「清清」か、ディクテーション受験者泣かせである。どれか
ひとつだけを知っていて、全体の意味が通らなくなってしまった
とき、この辞書を引くと、他の単語にたどり着くことができ、
意味や用例と共に覚えられ、便利である。日本の電子辞書の単語
配列がこれに近く、援用できるが、ボリュームという点で、この
辞書には遠く及ばない。1万5千語を収録している。

★本日の一文
智者一切求自己,愚者一切求他人
智者は一切を自分に求め、愚者は
一切を他人に求める。

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