中国語の辞書 その7 図解辞典

ヨーロッパの言語で図解辞典といえば、DudenやLarousseが有名で
すぐに思い浮かぶが、中国語となると、不思議と長い間、これが
なかった。20年前に出た下記のものが最初である。去年も類書が
出版されたが、あきれるほどチャチで、大型書店に出向いて、
手に取りながら、買わずに帰ってきてしまった。私が目的の書物を
見つけ、なおかつ買わずに帰ってくるというのは、3年に1回あるか
ないかのことである。それほど、今は絶版になってしまった下記の
辞典への思い入れが強かった、ということかもしれない。
30.大修館中国語図解辞典 
著者は輿水先生を初め、錚々たるメンバーである。それぞれの先生が
単独で書いておられる中国語関連書籍も多い。一般の中国語辞典でも
昨今は、挿絵や写真をふんだんに使い、ビジュアルの説明を心がけて
いるが、外国語の学習には、この辞書のように、図解を通しての
理解がどうしても不可欠であると思う。言葉だけではうまく
言い表せないものがあるからだ。1992年の出版でありながら、今でも
そのまま通用する部分が多い。308項目が、見開き2ページの挿絵と
訳語で構成されている。この6800円は本当にお買い得と思う。この
辞書のすごいところは、準備構想だけで20年の歳月を費やし、
中国人インフォーマントの協力を得ながらも、日本人だけで無から
書き上げた点である。普通は中国語版がすでに出ていて、説明文だけ
日本語に訳して、ハイ出来上がり、となるものだが、気鋭の日本人
学者が結集して最初から作り上げたわけで、「まえがき」を読んで
このことを知り、思わずうなってしまった。言い換えれば、中国には
この手の辞書を作ろうという発想そのものがなかった、ということに
なると思う。しかし、この辞書は第2版も出ないまま、絶版になって
しまった。先に紹介した角川の大辞典といい、東方の成語辞典といい、
だいたい私が賞賛するものは全て呪われたように絶版になってしまう。
やはり一般の趣味・嗜好とはかけ離れているのかもしれない。まあ、
これらの素晴らしい辞書を編んで下さった先生方とだけは、考え方の
上で連帯するものがあった、という点で、自分を慰めることにしよう。

外観。以下は内容。

★本日の一文
高峰只对攀登它而不是仰望它的人来说才有真正意义
高い山というのは、ただ見上げているのではなく、
実際に登る人にとってのみ、本当の意義のあるものである。

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