中検の各級

3月末はは準1級との併願で、スコア式ビジネス中検と
いうのを申し込んだ。ところがこの試験、あまり人気が
ないのか、今回限りで中止になってしまうそうだ。
私にとっては最初で最後の試験になってしまった。

語学の試験は、そのクラス・成績によって主催者側から、
コメントがつけられていて、このクラスなら、海外で
ビジネスができるとか、現地の理系大学に編入しても、
やっていけるとか書いてある。これらの効能書きは、
果たして本当かな、と思うことがよくある。
主催者側のより、受験者側の正直な感想の方が、信用
できるのではないか。”食べログ”と同じである。
同学の皆さんもそれぞれの感想を持っておられるに
違いないが、今回は、これまでの経験と、友人・同学から
聞いたお話に基づいて、中検各級に対する自分の感触を
述べてみたい。

準4級
入門クラスの最も易しい試験。語彙力は500前後と
あるが、ギリギリ狙いなら300ほどでもいけそうである。
たくさんの対策本が出ているし、出題範囲が限定的で
対策が立てやすいと思う。100点満点の60点で合格、しかも
合計点のみの要求なので、仮にリスニングが50点満点の
人なら筆記が10点でも合格である。
妻がこの試験に合格すると、本人はもちろんうれしいし、
夫も、妻の中国語学習に対する理解が深まり、なかなか
決まらない買い物に一日中付き合わされて、せっかくの
休日の学習計画を台無しにされたりすることがなくなり、
この上なくありがたい。主催者側も将来、受験料の高い
上位級を目指してくれる見込み客が増えたわけで、
ホクホクだと思う。関係者全員の利害関係が、かくも
見事に一致する試験も珍しい。心温まる試験である。

4級
この試験も自分自身では受けたことがない。対策本をみると、
中級の一歩手前のような感じがする。ひととおりの構文は
出そろっており、受験者はかなり難しく感じるのでは
ないだろうか。語彙数は1000前後で、どの外国語でも
1000を越えるあたりから、片言で話せるようになると
いう。流暢な会話は成立しないが、中国語をけっこう
楽しめるようになってくる段階だと思う。

3級
語彙数は2000に近づき、文法的にも全体を網羅できる
イメージで、マスタークラスである。「どのくらいまで
中国語を勉強したらいいですか。」というような質問を
よく受ける。それは本人が中国語で何をしたいかによる
わけだが、そう答えると不親切かと思い、最近では、
「中検3級に合格するように勉強してください。」と
答えるようにしている。ここまでくれば、相手が少し
気を使ってくれれば充分、会話が成立するし、わからない
ことがあれば、中国語で質問することもできる。一応、
学習の完成、ということで、中国語はここらで切り上げ、
他の趣味、ドライフラワーやガーデニング、クロス・
ステッチ(今、中国で大流行!)などに転進された
ほうが、より充実した人生を送れるのに、と思うが、
このクラスまで来られた同学は、更に上を目指すぞ、と
高らかに宣言される方が多い。でもこの先、中国語は
どこまで行っても、中国語のままで、あまり可愛くない。
これ以上の投資に見合うだけの喜びが待ち受けている
という保証はないのである。

2級
ここまでくると、もう骨の髄まで中国語に染まってしまう。
ここでやめるのは、シャブ漬けの芸能人が覚せい剤を
断ち切るより難しい。一生、中国語と付き合っていく
しかない。語彙数は3000を優に超え、中には、4000
くらい持っていらっしゃる方もいる。新聞を手にとっても
知っている単語が多く、辞書を引きながら読み進んでも
引く回数がそう多くないので、苦にならない。
うちの日本人従業員は全てこのクラスで、皆さんお若いのに、
中国語がとても上手で、顧客との電話の受け答えも水際
立っている。あと、発音だけ少し気をつけてもらえれば、
素晴らしい話し手になるのに、と思うが、年寄りが横から
ゴチャゴチャ言うのもよくないので、最近は若い人の
自主性に任せ、聞かれたときだけ答えることにしている。

準1級
この級に合格するような人は、職業か趣味かはいざ知らず、
ご専門の分野で中国語を実際に生かして使っていらっしゃる
方がほとんどである(私だけが例外で、何の持ち合わせもない)。
歴史・文学・映画評論・お料理・京劇などの伝統芸能・
二胡などの伝統音楽・スポーツ関係・放送関係・教育分野など
幅広い領域で、それぞれご活躍の方を存じ上げている。語彙数は、
各専門分野の用語も入ってくるので、上はどれほどになるか
想像もつかないが、最低でも5000は超えていると思う。
私も、目指せ、1万語!で頑張りたい。

1級
中検実施以来30年の延べ人数で、合格者は200人を
超えていない。とても難しい試験だと思うが、残念ながら
私には語る資格がない。20世紀後半から、受験し続けて
一度も合格したことがないからである。繰り言は全て合格
してから言え、と言われてしまう。
語彙数は自在に扱える単語が1万語くらいあれば足りるの
だろうか、よくわからない。
しかしここ数年は、ありがたいことに獲得点数がじわり
じわりと上昇してきている。このまま生きながらえて
いさえすれば、今世紀中葉には歴史的瞬間を迎えるかも
しれない。今後は生活習慣病との闘いが重要なポイントに
なってくる。

★ 本日の一文

水至清则无鱼,人至察则无徒

水は澄みすぎると、魚が住めない
人は厳格すぎると、友達ができない



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