郵便配達は3度ベルを鳴らす

かなり前のことで、どんなシチュエーションだったか忘れて
しまったが、ある日本人に中国語の数字を読んでもらった
ことがあった。「80005」。彼は「八万零零零五」と読んだ。
正解はもちろん「八万零五」である。この「零」の役目は、
前の単位(この場合は万)と後の数字(この場合は五)と
離れていて、つながりがない、ということを表す記号と
考えればよい。だから、いくつゼロが並んでいようと、
読むのは1回だけでよく、3回もベルを鳴らさなくてよい
のである。
では、くっついていて、つながりがあれば、どういうことに
なるのか。くっついていれば、「五」の表す意味が、
「五千」になるのである。つまり「千」が省略されていると
考える。慣れないうちは奇妙に感じるかも知れないが、
ライフ・シーンでもビジネス・シーンでも、「80005」と
「85000」とどちらが出現率が高いかと言えば、圧倒的に
「85000」の方が高いと思う。常用のものはできるだけ
簡単に、そうでないものは、多少めんどうな言い方でも
いいじゃない?という発想である。

「そのヴィトンのポーチ、いくらで買ったの?」
「八万五。」
80005円の値付けの商品なんて、そうそうないであろう。
これくらい高価な商品になると、5円なんて、どうでも
いいからである。一般に下位の数字ほど重要でなくなる
と言える。

この言い方は、中国語の専売特許ではなく、広くアジアの
言語で行われている。日本語だけが脱亜入欧の精神を
いかんなく発揮して、ヨーロッパ型である。

日本でも、昔は中国からの影響で、この用法があった。
一尺八寸の長さの楽器は尺八と呼ばれ、大工さんたちは
一寸五分の釘を「すんごのくぎ」と呼んだ。

「零」は1回だけでいいと言ったが、引き離す必要が
2回あるときは、当然2回登場する。「80305」なら、
「八万零三百零五」となる。

中国の市場や商店では、正札などなく、今も値引き
交渉が盛んである。「八万五」を「80005」だと
誤解して、ぬかよろこびしないようにしたい。

★本日の一文

如果别人朝你扔石头,就不要仍回去了,
留着作建高楼的基石。

もし人があなたに向かって石を投げてきたら
投げ返してはいけない。その石を残しておいて
高い建物を建てるときの礎にするがよい。



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