上達するとき、及び勉強法

語学はいつ上達するか。夏か冬か、朝か夜か、という問題では
ない。どんなことをしているときに伸びるのか、ということを
考えてみた。勉強すれば伸びるのだが、それはどんな勉強法か。

自分が思う結論を以下にまとめる。
項目1.目と耳を駆使して、脳に単語などの関連情報をインプット
    しようとしているとき。
項目2.口を使ってインプットした情報を確実に自分が使えるように
    なるまで発声し、記憶を定着させながら、音でも、(文字を
    有する言語なら)文字でも、意味を把握しようとしている
    とき。
項目3.把握した情報に思い違いがないか、経験者にチェックして
    もらい、ミスがあれば直ちに修正しようとするとき。

この3つだけである。更に原理主義的につきつめれば、1.が
最重要になる。インプットがなければ何も始まらないからである。
キーワードは脳、目、耳、口である。

しかし、最初のうちは全然問題ないが、学習が進むと1.が最も
苦しい作業になってくる。そこでそれを和らげたり、気分を
変えさせるために、いろいろな手法が登場する。

1.をメインに据え、そこにおびただしい時間を投入し、かつ
2.と3.も忘れずに実行している人がいれば、何語であるかを
問わず、その人の語学は確実に伸びていくと思う。まあでも、
言うは易く、行うは難し、である。すでに日本語OSでキゲンよく
稼働しているコンピューターに、いきなり他言語OSを放り込み
ましょう、という相談なので、土台無理な話なのである。上達の
ためには、敢えてこの無理に挑戦しなければならない。

次に上の3つのチェックポイントに従って、いろいろな学習方法を
検証してみたい。今後、項目1.2.3.を盛んに引用するので、
勝手ながら太字にして、項目1.と書くだけで、その内容を表す、
というルールにしたい。この3項目は、いわば、私の信念のような
ものなので、今後ともしつこく引用と紹介を続けていく、と思う。

a.睡眠学習
熟睡しているときに、外国語の音声を流し、習得しようとする。
眠っているときは、頭も耳も目も外界からのインプットを受け
入れないので、項目1.2.3.のどれにも引っかからないから
これで上達できる望みは全くない。
b.聞き流し学習
これも似たり寄ったりだが、目覚めているだけ少しマシで、流れて
くる音声の中に、自分が知っている、またはウロ覚えのエレメントが
あれば、項目2.の効果が生じることがある。しかし、それは単に
ラッキーなだけなので、全体としての成功率は低い。若い人気のプロ
ゴルファーを使ってさかんに宣伝しているが、どれくらいの人が
だまされているのか、興味はある。
c.独学で勉強する
項目3がある以上、独学は無理である。しかし、逆に1.と2.だけに
限って言うと、独学でしか、勉強できない。周りに人がいると、邪魔に
なり、没頭集中できないからである。1.2.は優れて自分的な行為な
ため、他の人はできるだけ、いない方がよい。
d.ネイテイブと語学交換学習をする
以前から人気の勉強方法で、実行している人も多いと思う。しかし、
あまり奏功しない理由は、1時間だか、2時間の間に、項目1.2.3
全てを詰め込もうとしている人が多いからである。相手の人は、1.と
2.をするのには、役に立たない人だ、という点に気が付いていない。
相手のレベルが低ければ3.も期待できない。ネイテイブについては
大きな誤解をしている人が多いので、後日このブログで別に記事を立てて、
じっくりと分析してみたい。
e.中国語教室に通う
最もオーソドックスな方法で、私にも経験があるが、問題点も多い。
まず、上記と同じで、1.と2.の妨げになりやすい点。あと、
初級とか中級会話とかそれらしくクラスを設けているが、諸般の
事情により、グチャグチャになってしまうことが多く、教室側も
授業料さえ納入してもらえば、あとは知ったことではないので、
ほったらかしである。参加者も「ひまつぶし(家にいると奥さんに
粗大ごみ扱いされ、パチンコ屋や飲み屋では費用がかかりすぎる)」、
「彼氏探し(場外馬券売り場で探すよりは、少しは知的な男性が
見つかるのではないか、趣味が同じであれば、話が合いやすく、
ここ、教えてくださらない?とか言えば、接近も容易である)」、
「金もうけ(中国ビジネスを喧伝し、アナタも語学力を生かして、
などと言葉巧みに、だまくらかして、ねずみ講まがいの商売を
展開したい)」など、など、さまざまな思惑と下心を持って、
日夜努力している人が集まってくるので、語学を純粋に学習する
場としては、ちょっと苦しいかもしれない。
f.歌で語学を覚える
No music, no lifeとかで、歌はいつも人気である。中国語の場合、
声調言語であるため、音楽ではそれが失われてしまうという、
独特のデメリットがある。発音練習にならないのである。四声や
難しい発音のピンインを完全に習得した後の人がのめりこむなら、
弊害は少ない。また、歌は語彙が貧弱である。
「アナタなしでは生きていけない」
「アナタのおそばに置いて、」
「打ち明けられないこの気持ち・・」
こういうセリフを毎日連発する必要がある人は別だが、普通の
語学では、もっと別の表現や単語を習得しなければならない
ことが多い。したがって正統派で勉強する傍らの息抜き程度に
とどめておくほうがよい。間違っても、カラオケレパートリーが
2000曲を超えたら、中国語がペラペラになる、とか思い違いを
しないことだ。ともあれ、暗くなりがちな語学学習を、歌で
明るくし、脳内麻薬の分泌を促進し、次なる学習意欲を再生産
できるなら、かなり大きなメリットになる。私もテレサ・テンと
王菲の1点張りから卒業し、凤凰传奇の荷塘月色や、
梁静茹の勇气を、今年中に習得、披露したいと願っている。

今回はこの辺まで。g.以下の続きをどんどん書いていくつもりだが、
z.までで終われるかどうか、自信がない。

★本日の一文

信言不美,美言不信

まことの言葉は、美しくない。
美しい言葉は、まことではない。

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