簡体字

以前から、そして今でも、簡体字について、総合的というか、全面網羅的に解説した
参考書が出ないかな、と期待している。部分的に紹介したものやブロガーさんたちが、
記事にしていらっしゃるのは、よく見かける。簡体字の概略は、1年も中国語学習を
した人なら、たいてい把握していて、読み書きに不自由はないと思う。ところが、
微妙に日本の漢字と違っていて、その相違点を看過しやすいもの、これについて、
まとめて注意を喚起するものがほしいのである。今回ask社から、それらしきものが
出版された。著者はなくて、編者がALA中国語教室とアスク出版編集部となっている。
本に直接書き込む練習問題もついていたり、筆順が示してあったり、字がやたら
大きかったりで、作りはこれから簡体字を勉強しようとする初心者向きの構成に
なっている。しかし、4部構成のうちの第3部のタイトルが、「日本の漢字と微妙に
異なる字」となっている。実にこの部分だけが有用で、残りはさすがに先刻
ご承知である。明らかに異なる文字は、かえって覚えやすいが、違いがわずかな
ものは、みのがしやすい。この第3部には自分の今まで知らなかったものも混ざって
いて、とても興味深い。やはりまだまだ全面網羅的とはいかないが、この本の
該当部分と、自分がこれまでに気づいたり、教えてもらったのを列記してみようと思う。
間違いでもほぼ実害のなさそうなものも多く含んでいるが、ご参考になれば幸いである。
またもし、追加情報や訂正部分があれば、どしどしご指摘願いたい。

1.「骨」の上部の四角い部分。日本字や繁体字では右寄せだが、簡体字では、「骨」と
左寄せになる。右寄せだと2画、左寄せだと1画で済ませられるという、涙ぐましい
理由によるらしい。「鍋」や「渦」もこの系列のはずだったが、更に簡略化されて、
「锅」、「涡」となっている。「過」に至っては「过」と、よく使われるためか、
大幅に画数が減っている。

2.「差」の上部のたて棒と左払いの連続。このため、日本字と比べて1画少ない。
この系列は、「着」、「卑」、「象」「鬼」と当然これらを含む文字類(以下、
派生字と呼ぶことにする)も全く同様で、けっこう多い。

3.ここから数例は、日本字より画数の多いもの。簡体字の大半は、日本語より画数が
少なくなるように作ってあるが、いくつか例外がある。そのうちのまぎらわしいものを
挙げる。まず「紱」。日本字より横棒が1本多い。

4.「惠」。日本語と比べると、縦棒が下に突き抜け、横棒と点が多い。

5.「甫」。単独では、日本字と全く同じだが、日本字の方は派生字にするときに、
一部、形が変わってしまうものがある。簡体字は原型を維持している。「博」など。

6.「鄢」と「曾」。日本字が上部の箱の中を、横棒1本で済ませているのに対し、
点を2つ書く。もちろん派生字もすべてこれに倣う。

7.上と同様に「海」や、「每」や「梅」も点が2つ。日本字は左払い1本で済ませる。
ただし日本字でも、「母」だけは胸のオッパイを意識してか、2点となっている。

8.「强」は右上が「ム」ではなくて、「口」。

9.「乘」。これは珍しく簡略化されず、繁体字と同形を保ち、日本字だけが
「乗」という画数の少ない形になった。

10.「喝」。これは私がずっと気づかずにに間違っていた部首。右下部が日本語は、
「ヒ」なのに簡体字は、「人」とカギかっこの逆向きの組み合わせ。繁体字もこの
組み合わせなので、こちらが原型である。

11.「压」。日本字より点が一つ多い。

12.「收」。右部分は、繁体字と同じく「シブン、ノブン」と呼ばれる部首
(「枚」の右側)。日本字は「又」になっている。

13.ここからは微妙に少しだけ違う字。気が付きにくい。まず「低」。右下は
横棒ではなくて点になっている。派生字も当然これに倣う。

14.「户」や「扁」とその派生字も、頭のところが点になっている。日本字は横棒。

15.「步」。下部の点が一つ少ない。「涉」などの派生字も同じ。ところが更にひとつ、
相違点がある。日本字は「小」の真ん中の棒を、左上にはね上げるのだそうである
(知らなかった!)。簡体字と繁体字はただの縦棒。ということは、「少」や「小」も
日本字の「少」や「小」と異なる、ということになる。

16.これも全然気が付かなかったもののひとつ。「以」。左側は「レ」で1画。
日本字は縦棒とななめ右上へ跳ね上げる部分が分かれていて、2画。

17.「变」。下部が「又」になっている。日本字の「変」より1画少ない。

18.「处」。ここまで面倒見なきゃあいけないの、という文字。まず、右部の
「ト」と日本字「処」の「几」が違うのはすぐに気が付く。左部の第1画目、
簡体字は上に大きく突出するように書く。日本字は突出しない。

19.「举」。これは見分けやすい。横棒2本に縦棒1本で、日本字の「手」と異なる。

20.「将」。これも見分けやすい。「将」と見比べればすぐに分かる。派生字も同様。

21.「笑」。これもいい加減にしてほしい、と言いたくなるような微細な差。全ての
タケカンムリに共通で、簡体字は、左右両方とも3画目は1画目と2画目が交わる
ところから、書き始めるのに対し、日本字は2画目の中央あたりから下におろす。つまり、
原字の「竹」と同じように書く。簡体字は「竹」だけが原字と同じで、カンムリになると、
上のように変化する。まあ、でもこんなのは無視しても問題ないと思う。

22.更に、無視してもいいと思う2例。まず最初は「非」。日本字は「非」。つまり、
左の縦棒を、払うか、まっすぐにしておくか、だけの違いである。やれやれ。

23.次に、「天」。日本字は「天」で1画目の横棒が2画目よりも長い。簡体字は
正反対。「末」と「未」なら、よく知っているが、こんな常用字にも差があるとは
驚きである。

24.「吕」には、上下の「口」の間に「ノ」がない。派生字や「宫」なども同じ。

25.「厅」には、上の点がない。

26.「带」。日本字「帯」より中央部の横棒が1本少ない。これも長らく気が付かなった。

27.「直」。左側の縦棒のあるなしの他に、日本字なら「目」になって独立している
部分が、下の部分にくっついて、結果的に四角い箱の中に、3本の横棒が入っている
形になっている。派生字も同じ。気を付けたいのは、「县」で、同じようなつくりでは
あるが、こちらは、箱の中の横棒は2本だけである。「真」もこのグループ。

28.「具」。上記と同様で、箱の中は横棒3本。派生字も同じ。

29.「钱」とか「浅」のグループ。日本字より横棒が1本少ない。

30.ここからは、突き抜けるか、突き抜けないか、シリーズである。まず、「与」。
下部に交差はない。日本字は横棒が突き抜ける。派生字「写」なども当然これに倣う。

31.「才」。全く突き抜けず、カタカナの「オ」のように書く。日本字は斜め下への
払いが縦棒と交差する。

32.「鼻」。下の2本の足は、横棒のから書き始める。日本字の「鼻」は横棒を
突き抜ける。

33.「画」。これも中央部が、「田」か「由」かの違い。

34.これも知らなかった、というか知らないままいた方が幸せだったかもしれない、
という例。「春」。5画目の右払いは3本目の横棒からスタートし、左払いとは
接触していない。日本字の「春」は5画目の右払いを、2本目の横棒からスタートさせ、
左払いと接触させて書く。

35.「边」。これは画数が少なく見分けやすい。簡体字は突き抜いて「カ」となる。
日本字は「刀」である。

36.同じような調子で「别」。「カ」であるのに対し、日本字は突き抜けない。

37.「角」。中央の縦棒は、下まで突き抜ける。日本字は下部の横棒で止まる。
「解」などの派生字も当然同じ。

38.「化」。右部の払いが縦棒と交差する。日本字は縦棒のところで止まる。
派生字の「花」「华」なども同じ。

39.「灰」これも左側で交差が生じている。日本字は交差せず、雁垂れのように
なっている。

40.「条」「亲」「新」「杂」。いずれも、下部は「木」ではなくて「ホ」である。
これも最近まで知らなかった。派生字も当然同じ。日本語は「ホ」ではなくて
「木」と書く。

41.面白いと思ったのは、上と正反対の例もあること。「述」や「术」は「木」である
のに対し、日本字の「述」や「術」は「ホ」になっている。

42.「反」。第1画は右上から左下へ向けての払い。日本字は左から右への横棒。
派生字も同様である。

43.「所」。これも上記も同じ理屈で、左部は払って書く。日本字は横棒。

44.日本でアナカンムリと呼ばれる部首は、「空」のように、右側の払いをグニャッと
曲げて書くが、簡体字ではただの「ハ」である。

45.「牙」。字体としてはほぼ同じだが、日本字の「牙」は、左上の短い縦棒と中央の
横棒が分離している。簡体字は続けて書く。

46.「发」。1画目、左上に突起があることに注意する必要がある。これは日本字との
違いというよりも、簡体字同士の識別に要注意である。「拔」は「抜く、抜擢する」という
意味で、発音はbá「拨」は、「はじく、指で回す」などの意味で、発音はbō。突起が
あるかないかだけの違いだが、全然別の字である。

47.日本字ではサンズイヘンなのに、簡体字ではニスイになっているもの。「凉」「决」
「净」「减」「况」など。

48.「包」。日本字は中身が、「己」なのに対し簡体字は、「巳」である。派生字も同じ。

49.「巷」。これも上記と全く同じふるまいを見せる。当然「港」も同じ。

50.「卷」。これも日本語は「己」だが、簡体字はかなり違う・

51.「食」という字は単独では同じ。「饭」のように偏で簡略化されたときに注意が必要。
2画目は真横に書いて、最後左斜め下にはねる。原字のように屋根型ではない。

★本日の学習進捗状況
1.単語帳
13冊目 24ページ目(全30ページ、1ページに30単語)

2.百年中国散文精选(1〜425ページ)
19ページ目
1.洪水与猛兽 蔡元培  読了
2.少年中国说 梁启超  読了
3.秋夜    鲁迅   読了   
4.雪     鲁迅   読了
5.从百草园到三味书屋 魯迅  読了
6.故乡的野菜     魯迅  読了

3.中国語作文−その基本と上達法(1~253ページ)
46ページ目

4.音読「三国志演義」(10−67ページ)
27ページ目

5.音だけを聞いて長文を暗記する「耳が喜ぶ中国語」(全110課) 
13課

6.論説長文読解「ビジネスリテラシーを鍛える中国語 I」(1課〜30課)
進まず。

•祖國的陌生人 p218(無根的丹青)
陳丹青則讓我在音樂裡,聽到那些往事與記憶.比起他對於音樂家和音樂會的品評,我更喜歡他對自身境況的描述..我喜歡他那樣的語句,「終日作畫,音樂常開著,89年冬初,是在遲午,紐約第104頻道古典音樂台正播放蕭邦.」
陳丹青は彼の音楽の中に、それら昔の出来事や記憶をよみがえらせてくれた。私は彼の音楽家や音楽評論家としての評判よりも、彼自身の境遇に関する話が好きだ。彼の次のようなセリフに魅かれる。「1日中、絵を描いていて、音楽はずっと流しっぱなしにしている。1989年初冬のある遅い午後、ニューヨークの104チャンネルのクラシック音楽局は、ちょうどショパンを流している。」

href="http://foreign.blogmura.com/chinese/">にほんブログ村 外国語ブログ 中国語へ
にほんブログ村