上級者用学習書

年の前半は、抑制が利いていたのに、最近はまた油断したか、どんどん本を買い始めている。年初に
ご協力を得て、たくさんの本を処理したのに、またぞろ、家の利用できる面積が少しずつ小さくなってきた。
もうそろそろ打ち止めに、とは思うのだが、夢遊病患者のようにふらふらと出かけていき、書架に
面白そうなのを見つけると、つい買ってしまう。まあ、言い訳をさせてもらえば、良書が多い、という
ことなのだと思う。今回は2冊紹介したい。まず1冊目。

・通訳メソッドを応用したシャドウイングで学ぶ中国語基本動詞93
長いタイトルだが、おなじみのシリーズで、著者は長谷川正時先生。シャドウイングだの、暗記だの、
リプロダクションだの、本職の通訳さんの学習手法を用いて、滑らかな会話ができるように、口と耳の
トレーニングを精一杯やりましょう、という一貫した方針がある。もうすでに10冊近くシリーズで
出版されている。私はときどき手にとって眺める程度だが、実はこのシリーズ、日本語を学習している
中国人に根強い人気がある。もちろん、N1に合格して、企業内通訳かなんかで、日系企業に就職しようという、
かなりレベルの高い人が関心を示しているのだが、そういう若い人にとってはバイブルのような存在である。
私もN1合格のお祝いとして、何人かにプレゼントしたことがあるが、ことのほか好評だった。
参考書ならこのシリーズ、辞書なら日本語の高低アクセントが記載されている明解国語辞典、ついでに、
電化製品なら、日本製表示のある電器炊飯器かヒゲソリ、チョコレートなら明治が喜ばれる。
更に迷ったら、米。このあたりを押さえておけば、中国の友人へのお土産は、はずさないと思う。閑話休題。
さて、今回のこの本は、暗記やシャドウイング最重視の基本方針は変わらないものの、各課ごとに、
動詞を取り上げ、基本的な意味のほかに、是非知っておきたい、「別の」または「あまり知られていない」
意味と用法が載っていて、参考になる。学習には語彙力がとても大切だが、実はその前の、「文字力」も、
応用が利く、という意味でとても大事と思う。中国語では日本語以上に、ひとつひとつの漢字が生き生きと
活躍しているので、ひとつひとつの文字の複数の意味を知っていれば、初めて見る成語や、新語・流行語に
対するときも驚くほど、応用が利く。すぐにうまい例が思いつかないが、たとえば「道」という文字。
「みち」だけ、知っていると「道路」とかいう単語には対応でき、類推から、「道理,道紱」ぐらいまでは
なんとかカバーできても、「难道」や「道谢」がどうしてそういう意味になるのかが、まるでわからない。
「挂」を「掛ける」とだけ覚えていると、「挂在墙壁上」の意味はすぐわかるが、日常会話で普通に登場する
「挂牙科」や「挂失」の説明はつかない。「犯」を「おかす」とだけ覚えていると、「犯罪」をベースにして
他の語を類推しようとしてしまい、「犯案」は誤訳をする可能性が高く、「犯不上」は全くお手上げになる。
このあたりのことを、解説と豊富な例文で、気づかせてくれる。面白い趣向で、上達への道につながると思う。

2冊目は、またしてもペレ出版、最近よく耳にする。「本気で学ぶ上級中国語」。初級、中級とシリーズに
なっているらしい。キャッチフレーズにも、「上級者のための〜」がやたらと出てくる。商業ベースに乗るのは、
やはりとっつきやすい入門書で、需要もその方が遥かに大きいので、「初めての第一歩」、
「これ以上易しくできない」から「サルでもわかる」まで、「中国語」を修飾する言葉は限られていたのだが、
ここへきて「上級者のための〜」が颯爽の登場となった。英語なら、別に珍しくもなんともないが、中国語界では
まだ数少なく貴重なネーミングの本と思う。MP3が330分収録で、第8課までしかないのに、なんと550ページを
超える大作である。中検2級対策とHSK5級対策に最適、とうたっている。著者は中国人の女性の先生。
シンガポールなどで、中国語学校開校など豊かな教育歴をもつ。肝心の内容は、やはり相当の本格派で、
この分厚い本を1冊勉強すれば、さぞかし力がつくだろうなあ、と思わせる。でも、本の題にもなっている
とおり、ホンモノの「本気」が要求される。例文も非常に現代的で、作文練習、文法講義、読解の要領、
類義語解説など、矢継ぎ早に繰り出していて、なかなか学習者を飽きさせない。練習問題もぎっしりである。
今後、中国語にガチンコで取り組もうとしている向きには、「その実力に関係なく」オススメできる本である。
ただし、しつこいけれど、「本気」が続かなければ、この3,300円+税は高い買い物になると思う。良書が
たくさん出てきて、読書の秋、と行きたいところだが、試験がもう間近に迫っている。


★本日の学習進捗状況
引き続き単語学習。
1.単語帳(Campus Word Book)
12冊目 22ページ目(全29ページ、1ページに30単語)

2.「祖国的陌生人」(6〜274ページ)
32ページ目。

3.中国語作文−その基本と上達法(1~253ページ)
42ページ目

4.音読「三国志演義」(10−67ページ)
27ページ目

5.音だけを聞いて長文を暗記する
耳が喜ぶ中国語 13課

•祖国的陌生人p22
中國比我想像的大得多,我們放棄了穿越內蒙古草原的計劃,直接飛到了大同。它是煤炭之都,它是驅動中國的主要動力,還是中國人災難的來源之一,礦難是不斷發生的社會新聞。中央、地方政府、礦主、礦工、新聞媒體形成了共生關係。一條人命變貴了、但仍不值錢、它從三萬元漲到十幾萬。大同還以色情著稱,過去它的窯子吸引著來自北方的商人、官僚、書生,而現在它則演變了洗浴中心,娛樂城,它是北京的後花園,便捷、清潔、廉價。
中国は自分が思っていたより、ずいぶんと大きい。内モンゴルの草原を突っ切るのはあきらめ、直接、大同に飛んだ。ここは炭鉱の町、中国を動かす原動力、だが同時に、中国人にとって災厄の源でもある。炭鉱に関する事故は間断なく報道される。中央や地方の行政機関、炭鉱の経営者、労働者、メディアが共生関係を作り上げているのだ。命の値段が高くなった。とは言ってもまだ知れていて、3万元が10数万元になった程度だ。また大同はフーゾクの街としても知られている。昔、北方からの商人、役人や学生を引き寄せたここの遊郭は、今は健康ランドや娯楽センターに姿を変えている。大同は北京の後背地にあたり、便利で清潔で物価が安いのである。
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