好不

このブログを書き始めた最初の頃(2011年12月頃)、「否定の虚辞」というテーマの記事を書いた。そのときに、
1例として、「好容易」と「好不容易」を取り上げ、説明をした。当時はまだ気がついていなかったが、
「好不〜」という切り口で、この問題を見直すと。かなり複雑なシロモノであることがわかってきた。もうとっくに
ご存知の方も多いと思うが、自分にはとても新鮮だったので、自分用の備忘録を兼ねて以下に整理してみたい。

1. 肯定強調の「好不〜」
「非常に」、「なんともはや」という感じで話者が感嘆しながら、程度の激しさを表す。後ろには、特定の
2音節の形容詞を伴う。
「好不危险」「好不热闹」「好不得意」「好不害羞」「好不伤心」「好不客气」

これらの「好不」は全て「非常」に置き換えられる。

2. 「容易」につく「好不〜」
副詞的に訳すことが多く、「やっとのことで」、「せっかく」、「四苦八苦して」などの意味を持つ。しかし、
「好不容易」は比較的、字ヅラ通りと言える。「好」(かなり)、「不」(ではない)、「容易」(簡単)なので、
「かなり簡単ではなく」で、意味的に合致する。第1類よりはわかりやすい。これで終わればハッピーエンドだが、
もうひとつ「好容易」というのがある。これが、「好不容易」と全く同じ意味、というので、頭が混乱する。
どちらも上述の意味となり、完全に互換性がある。

ここまでは昔から知識としては知っていた。混乱しながらも、これらの語句を使用して会話や作文することはできる。
さて下記が、最近の新発見。コロンブスの卵で、考えてみれば当たり前の話だが、見たときはあっと思った。

3.   本来の「好不〜」
上記の「好不容易」と同じで、字ヅラ通り訳せるタイプ。「道徳」は名詞では「道徳、モラル」の意だが、
形容詞として「道徳的な」という意味でも使われる。これを否定すれば、「不道徳」、更にそれを強調すれば
「好不道徳」となり、「著しくモラルに欠ける」という意味になる。第1類との対比が鮮烈である。2.は
「容易」だけに適用される特殊例として覚えるしかないが、第1類と第3類の対立はどう処理したらよいのか、
中国語なので例によって、マーカーがない。
目下のところ、実用例がうまく探せていない下記のような語句はどう訳せばいいのだろうか。

「好不稳定」「好不爽快」「好不景气」「好不妥当」「好不温暖」

しかし、そもそも「搭配」として許されているかどうかを、まず検証しなければならないのかもしれない。
目下の個人的感覚では、形容詞の褒貶に関係があって、その形容詞がマイナスの意味か、積極的プラスの
意味のときは第1類、消極的プラスのときは、第3類に落ち着くのではないかと類推している。機会があれば
ネイティブに確認し、結果を記事にしてご報告したい。
このように、例外を伴う規則が多すぎるため、巷の中国語教室などでは「中国語には、文法なんてないのよ。
規則を覚えても必ず例外があるから、役に立たない。実戦で当たって砕けるしかないのよ。」などという、
勇ましいご意見をよく耳にする。まあ、実戦に敢然と踏み込むことは、大いに結構,また不可欠でもあるが、
お出かけの際には、折りたたみ傘の一つぐらいは、バッグにしのばせておいた方がよいと思う。


★本日の学習進捗状況

1.単語帳(Campus Wide)
11冊目 68ページ目(全68ページ、1ページに30単語)

2.「蜗居」(1〜303ページ)
47ページ目

3.日中・中日翻訳トレーニングブック(90~146ページ)
146ページ完了

4.茉莉花 2回目音読完了。3回目。69ページ目。

5.音だけを聞いて長文を暗記する
耳が喜ぶ中国語 8課

•蜗居 p44
海萍得省钱。因为每一分每一毛都是以后家里的地砖莲蓬头。这些东西,不从牙缝里抠,是抠不出的。而且,
等新房子弄好了,儿子爸妈都过来住,一家开销很大,那时候就不可能从嘴巴里胜出什么来。孩子要长身体,
你总不能叫他跟你天天吃清汤面吧?父母一辈子操劳,不能到老了过来给你带孩子,却光干活看孩子吃,
自己空着嘴吧?老小都吃,能忍心看你一个人啃冷馒头? 所以,到时候,家里桌上,菜肯定是要有几个的,
还得有荤有素。能省钱的大好时光,就只有这一段的两人世界了。
海萍は切り詰めなければならなかった。ほんの僅かなお金が全て床のタイルやシャワーのノズルに化けるからだ。
こういうものは、わずかな出費から削って行かないと、なかなか節約できるものではない。しかも、家がきちんと
仕上がって、息子や両親が一緒に住むようになると、家計の出費は膨れ上がる。そうなったら、食費を削るなど
とても不可能だ。育ち盛りの子供に、あっさりしたスープばかりを毎日食べさせるわけにはいかないし、
これまで苦労して育ててくれた両親に、孫の面倒まで見てもらって、子供の食事を見るだけ見させて、空きっ腹の
ままにさせておくわけにもいかない。また、自分の両親や子供が食べているときに、自分らだけ、冷えた肉まんを
かじっている、なんてとてもできない。みんなで住むようになれば、食卓の料理はどうしても増えていく。
肉も野菜も必要だ。節約できるのは、今二人で暮らしている、このときだけなのだ。

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