単語の語源

日本語との比較において中国語の単語を眺めていると、いろいろな
思いが浮かんでくる。簡体字かどうかは無視する前提で分類して
みると、大体、下記のような感じだろうか。

1.外見も意味も日本語と全く同じもの(学校,衣服etc)
2.外見は同じでも、意味にずれがあるもの(亲切,中学生etc)
(これは要注意!非常に多い)
3.外見は少し異なるが、見てすぐに意味が分かるもの(老鼠,介绍etc)
4.外見からは意味が推測できないもの(耗子,筷子etc)

ふつう外国語の単語といえば、ほとんど全てが上記の4.に属するのが
当たり前だが、漢字文化圏の言語(中国語、朝鮮語、ベトナム語、
モンゴル語、日本語)には、表記法に大きな差こそあれ、その単語に
1.〜3.のものが多く含まれている。当然、単語学習の際にはこの
メリットを十分に生かすべきと思う。ただし、2.だけは本当に
要注意で、容易に誤解・誤訳の罠に陥ってしまう。
で、上の単語群をみていて、ふと思った。中国人は当然なんの
違和感もなく、これらの単語を日常的に使っているのだが、その
語源のようなものに興味を持たないのだろうかと。先日来、本の
整理をしていて、「词踪」という本をひっぱり出してきた。
ずっと昔に買った本である。この本はやはり、中国人でも
あらためて聞かれてみると、どうしてだろう、と首をひねるような
単語を集めて、その由来を解説している。その中で、上記の3.4.に
登場した単語の解説があったので、ご紹介したい。案外有名で
すでに知れ渡っているのかもしれない。

・筷子
現代中国語を勉強し始めた頃、この単語を初めて習って、非常に
不思議に思った。当時は、漢文から勉強し始めていて、「はし」の
ことは古代中国でもやはり「箸zhù」なので、現代中国語でも当然、
日本語と同じと思っていたのである。上記の本に由来が書いてあった。
なにか取ってつけたような説明なので、本当かどうかは怪しい
けれど、話としては面白いと思う。
昔中国でも「はし」は「箸zhù」だった。ところが、この音は
「住zhù」と同音で、王族・貴族の舟遊びでも、漁民の仕事でも、
船の上で食事をとることが多く、その際に、「住」は「停滞」、
「立ち往生」を意味し、非常に縁起が悪い。そこで材料を表す
タケカンムリだけを残し、船が気持ちよくすばやく前進できる
ように、との願いを込めて「快」の字を当てた、というのである。
爾来、「はし」は、「筷子」と呼ばれるようになった。
日本語でも「イカのスルメ」は、賭博で負けることを意味する
「する」につながるので、「あたりめ」と呼び、「ひげを剃る」も
同様に「ひげを当たる」と言い換えるのに、似ている。

・「老鼠」と「耗子」
「老」は動植物名によく付けられている接頭辞で、「老虎」、
「老鹰」、「老玉米」などの例がある。「年老いた」という
含意はない。「鼠」は本来の文字で、象形文字である。では、
「耗子」はどのような経緯でつけられたのだろうか。この
単語も「狗拿耗子――多管闲事」という「歇后语」にも登場
するので、なじみ深いと思う。面白いと思ったので「词踪」の
該当部分を全文引用する。

  一般工具书对“耗子“的解释,止于“耗子即老鼠“,
或“某些地区把老鼠叫做‘耗子’“,都未说出个所以然来。
  其实,把老鼠叫耗子,是有其“历史原因“的。五代时,
军阀割据,争战频繁。统治者为了自己穷奢极侈的享受,
变本加厉搜刮百姓,他们给苛捐杂税立了许多稀奇古怪的名目。
  据<<旧五代史•食货志>>记载,赋税除正项之外,还有许多附加税,
酿酒要交酗税,养蚕要上蚕税。
  不仅如此,附加税之外还有附加,名为“雀鼠耗“。官府规定:
每缴粮食一石dàn,加损耗两斗。连丝、棉、绸、线、麻、皮这些雀鼠
根本不吃的东西、也要加“雀鼠耗“,每缴银十两加耗半两。
  到后汉隐帝时,“雀鼠耗“由纳粮一石加耗两斗,筯到四斗,
百姓更是苦不堪言,但又不敢公开抱怨皇帝,便将一肚子怨气
发泄到老鼠身上,咒骂老鼠是“耗子“。这一说法,便流传至今。

普通の参考書には、「耗子」は「ネズミ」のこと、とか、ある地域では
ネズミのことを「耗子」と呼ぶ、程度の記載だけで、出自についての
説明がない。ところが、この呼び方には歴史的な由来がある。
五代の頃、軍閥が割拠し、戦争が絶えなかった。為政者たちは
贅沢三昧を尽くすために、どんどん人民に対する搾取を激化させていき、
苛酷な徴税をする際、数多くの奇妙な税目をひねり出した。
「旧五代史•食货志」の記述には、課税の際、普通の税金以外に、
酒を造れば、「大酒飲み税」、養蚕をすれば「かいこ税」という風に、
追加の税金を徴収した、とある。これだけにとどまらず、追加税には
さらに「雀鼠耗」という名前の、みなし税を付け加えた(穀物類は
どうせ、すずめやねずみに食われて、量が目減りしているだろう、
という前提で余分に徴収する)。役所は規定により、一石あたり二斗
(つまり20%)の補填を要求した。絹糸、綿花、絹織物、ひも、麻、
皮革のような、スズメやネズミが全然食べないようなものにまで、
「雀鼠耗」を課し、銀十両あたり半両(つまり5%)を徴収した。
後漢の隠帝の頃になると、この税目は穀物1石あたり4斗にまで
増税され、人民はますます筆舌に尽くしがたい辛酸を嘗めた。
それでも、人民はおおっぴらに皇帝に対する不満を口にすることは
できず、満身の恨みをネズミにぶつけ、ネズミを「ごくつぶし」と
罵倒した。この言い方が、今日まで伝わっているのである。

人間社会の矛盾を背負わされているネズミが少し可哀想になって
くる話である。

★本日の学習進捗状況
音読だけ少し前進。
1.単語帳(Campus Wide)
11冊目 60ページ目(全69ページ、1ページに30単語)

2.「杜拉拉升职记」(8〜261ページ)
261ページ目  読了

3.日中・中日翻訳トレーニングブック(90~146ページ)
121ページ目

4.茉莉花 2回目音読完了。3回目。7ページ目。

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