ディクテーション

前回は「聴解」の対策について書いたので、姉妹編として
「書き取り」の方も考えてみる。普段からの練習としては
下記の2つ。

A.語彙力を増強する。
当然、耳で聞いて理解でき、かつ正確に漢字の書ける単語
でないと、意味がない。1級試験を意識するなら、やはり
1万語は必要だと思う。

B.中国語の耳を作る
流れてくる中国語の音声に違和感なく、溶け込めること。
普段から中国語の音のシャワーを浴びて、逐次その意味を
取ろうとしてみる、ナレーターと同じような間合いで音読
してみる、というような反復練習が必要だと思う。

正統派の対策としては、上記のA.Bのみ。これさえ自信が
あれば、あとは何もいらない。ただ現実、試験場で役に
立つ(かもしれない)、補足的な手段としてはまだ何か
ありそうである。そこで、下記のようなことも考えてみた。
ご参考まで。

C.よく出てくる話題と関連用語を押さえておく。
今なら、環境問題(汚染だの、クリーンなエネルギーだの、
エコ買い物バッグだの、ゴミ処理方法だの)、高齢化問題
(核家族、老人医療、ひとりっこ政策、ボランティアなど)、
人口問題(都市農村、男女出生比など)、IT関連(ケータイ、
パソコン、インターネットなど)がよく出てくると思う。
それから、風景描写のある紀行文、有名な漢詩・宋詞、
雑誌「読者」に出てくるような、お涙ちょうだいの美談系や、
教訓系(人生、お金じゃないのよ、愛なのよ、愛があれば怖くない、
みたいなヤツ)も定番で、出題される。ところが、絶対に
出題されないだろう分野もある。言わずと知れた政治の話題。
身近な問題として感じている人も多いので、協会側も何とか
出題したいのだろうが、諸般の事情をつらつら鑑みるに、
あまりにもヤバいので、過去現在未来を通じて出題はないと思う。
それから貧富の格差問題も忌避される。もちろん、「小さいころ、
彼の家は貧しかった」のように、ヒトゴトみたいに言うような
ものは差し支えない。社会問題として、富裕層と貧困層を
取り上げて対比するような内容は、あまりにも、あまりにも
ヤバいため敬遠される。

D.漢字1文字の、文語調の虚詞を押さえておく
私は常々、漢字1文字の基本語、例えば「好」「大」「长」「走」
「吃」「看」のようなのを一通り覚えたあとは、2文字の単語を
どんどん覚えましょう、とオススメしている。「単語力がない」と
お嘆きの方は、実にこの2文字単語の数が全然足りない向きが
多いと思う。2文字の単語がスラスラ読めると、音読も飛躍的に
進歩する。中国語全体の単語のうち、70%は2文字が占める。
中国語のような孤立語の場合、2文字の方が、意味的、音声的に
安定するからだと思う。4字成語、といっても2文字+2文字の
構成のものが多い。
ところが文章語では、ふだん2文字でおなじみの単語が、1文字で
登場することがある。これを目で見る(読む)場合は問題ないが、
リスニングで出てくると結構大変である。「而且」なら誰でも
わかるのに「且」と読まれると困ってしまい、「以及」は覚えて
いても、「及」だけ言われるとわからない、などなど、なかなか
やっかいである。
あと「由」と書くべきところを、「有」と書いてしまったりする。
全体の文章の流れを見ると、すぐにわかりそうなものなのに、
書き取ることに必死になっていると、3声+3声で、2声に化けた
「有」と、「由」を取り違えてしまう。あと、これも1文字だが、
shìという音が独立して聞こえてくると、当然のように「是」と
書いてしまうが、「视A为B」で「AをBとみなす」という場合も
あるので要注意。文頭に「jì」とくると「继」か「既」の
可能性が高く、「jí」ならば、「及」以外に「即」も疑って
みないといけない。

E.1音節だけで特定できる漢字を押さえておく。
例えば「ji」と読まれる漢字は、古来からそう読まれてきた
もの以外に、昔は「き」と読まれていたもの(「机」など)や、
「ズィ」と読まれていた文字まで、現代語ではこのグループに
流入しているので、やたらと数が多い。1声の「jī」だけに
限定しても、手元の辞書で40種類以上ああって、単独で音を
聞いただけでは漢字に書き直せない。ところが逆に、対応する
漢字が非常に少ない音節もある。以下、発音を正しく聞き取れる、
つまり音を聞いてピンインと声調符号に書き換える能力がある、
という大前提で話を進めるが、例えば「neng」という音が
聞こえれば、これはもう、「能」という文字に決まっている。
声調すら関係ない。「līn」ならば「拎」しかない。2,3種類に
限定できるもの(nóng 农,浓,脓)、(kāi 开,揩)も含めて、
自分なりにメモして、覚えておくと便利である。「よく使われる
漢字」という範疇を設定するなら、こういったグループは
思いのほか数が多いことに気がつくと思う。2文字単語の
片方だけでも、漢字が書ければ、もうひとつの方は前後の
関係から想起しやすくなる。

以上、思いつくまま書いてきたが、やはり王道はAとBである。
これをはずしてのディクテーションは、ありえない。


★ 本日の学習進捗状況
前回から進展なし。
1. 単語帳(Campus Wide)
11冊目 45ページ目(全69ページ、1ページに30単語)
2. 「杜拉拉升职记」(8〜261ページ)
133ページ目
3.日中・中日翻訳トレーニングブック(90~146ページ)
  
4. 茉莉花 1回目音読完了。2回目。


にほんブログ村 外国語ブログ 中国語へ
にほんブログ村